告知 -レベル2試験官取得要件

この4月に、私たちはジャッジプログラムの構造を変更しました。ジャッジプログラムのリーダーたちは、その内容をこちらで公開してくれました。大きな変更のうちの一つに、特別な資格を取得する要件が追加されました。レベル2ジャッジが取得可能な資格として、レベル2試験官というものがあります。

なぜこの資格を用意したか

このレベル2試験官という資格は、ジャッジプログラムにおける重要な点を2つ、補填してくれます。

  • 私たちはレベル2候補生がより簡単にテストを受けられるようにしたい。
  • 私たちは、レベル2ジャッジのジャッジプログラムにおける地位向上および貢献を、レベル3を取ること以外にも用意したい。

新しいPPTQシステムでは、より強く「地元に根ざした」レベル2ジャッジという存在が求められています。現在の「レベル2ジャッジ」とは、「ルール適用度競技におけるジャッジ」ということを意味しています。レベル2候補生は、認定を受けるために長旅をするような状況におかれるべきではないのです。しかし、以前のPTQシステムとは事情が異なり、そういった地方単位のイベントでレベル3のヘッドジャッジが求められる機会は減ってしまっていました。この変更の結果、以下の2つの予期せぬ結果が生じてしまいました。

  • 現在レベル2を保持しているジャッジが、PPTQの過密スケジュールのおかげで働きすぎであると感じるようになってしまった。
  • レベル2候補生はレベル3ジャッジにテストしてもらう機会を見つけるにあたり、より厳しい状況におかれてしまった

レベル2ジャッジは、ジャッジプログラムの長期的な成功における要となる人達です。現在、技術が十分あって、しっかり準備ができているなら、レベル2ジャッジはレベル3認定プロセスを完全にこなさなくてもレベル2試験官となることができます。これはジャッジプログラムにおいて、地域のリーダーを育てるにあたり非常に重要な土台となります。そしてこれはそういった立場にあるレベル2ジャッジが、すべてのレベル3クオリティを満たさなくとも、そういった状況に集中して対応できるようにします。

このシステムは誰のためのものか

レベル2試験官の認定は、他のジャッジをレベル2に認定したいジャッジのために存在します。今日までは、レベル2候補生が試験を受けようとすると、試験官ができるのはレベル3ジャッジだけでした。全てのレベル3ジャッジは新しくレベル2ジャッジを認定する上で必要な要件を理解し、それに関する知識を持っています。私達は、以前からある程度のレベル2ジャッジは(レベル3と同様に)その要件を理解しており、十分な知識も持っていると知っています。

この認定はそういったジャッジのためにあります。

自分の地域において他のジャッジを指導しているジャッジは、レベル2試験官のよい候補生たりえます。そういった人達は、どうやってうまく意味のあるフィードバックを行うかを知っています。その人達は、すでにレベル1ジャッジを育て、レベル2になれる実力をつけさせているでしょう。そういった人達は、他のジャッジに対してその人のレベルに合わせた適切なフィードバックを行うことができているはずです。

レベル2試験官の候補生は地域を主導している立場であるかもしれません。そういった人達は地方として孤立した状態になっていて、その地方だけのレベル2である状態になっているかもしれません。しかし、レベル2試験官になるにあたって、そういった状況になっている必要はありません。状況にかかわらずどんなレベル2ジャッジも要件を満たせばこの認定を受けられます。理想的なレベル2試験官の候補生は、すでにレベル2候補生の成長を助けているはずです。こういったジャッジはどんな方法であってもレベル2の試験を実施することができるはずです。

このシステムに該当しないのは誰か

レベル2試験官の要件はすべてのレベル2ジャッジに要求されるものではありません。レベル2試験官の認定試験をすることは、すでに地域コーディネーターや他のレベル3のように大忙しになっている人のスケジュールをさらに増やしてしまうことになります。そのような忙しい人達にレベル2試験官の認定試験を求めるなら、そういった人達が、あなたが資格を得るためにさらになぜ時間を取らなければならないか、という要素を明確に説明できるはずです。

この資格はレベル2.5ではないのです。

レベル2試験官の要件は、レベル3認定プロセスの一部として求められたり期待されているわけではありません。

レベル3候補生の一部は、レベル3試験の過程の中でこの資格を取得できるかもしれませんが、そうでない人もいます。あなたがレベル2で、他のレベル2ジャッジを認定する気が全くないなら、この資格を取得しないようにしてください。

これは、あなたを他のレベル2ジャッジよりもよいジャッジにしてくれるわけではありません。他のレベル2ジャッジよりイベントに採用されやすくなるために使われるものでもありません。あなたは他のジャッジを指導したり学習を助けるために、この資格を必要とする理由はないのです。

私たちが求めるもの

レベル2試験官はL2候補者が既にL2の水準に達しているかを評価する立場になります。レベル2試験官は候補生の長所短所を認識することができる人がなるべきです。レベル2試験官は候補生に対してフィードバックを行えるべきです。レベル2試験官は、候補生の成長とレベル2になるのに必要な技術を習得させることを助けられるべきです。

最後の段階として、レベル2試験官は候補生の試験を実施できるべきです。これは候補生が、レベル2試験における自分たちの誤りや不理解を解消することを助けられることを含みます。また候補生がレベル2として十分であると示すためのレビューを書けることも含みます。レベル2試験官の候補生は以下に示される項目において十分な能力があることを示さなければなりません。

  • ルールとポリシーに関する十分な知識

レベル2試験官の候補生はルールとポリシーに関して十分な知識を持っているはずです。候補生はレベル2テストについて、その回答と試験の意図を十分に説明できるべきです。 ルールやポリシーに関する状況に対して、十分なフィードバックを行うべきです。レベル2試験官は、レベル2候補生がルールに関する試験を受けました。その際に、レベル2試験官は、その人が間違えた問題から何かを学びとることを助けることができる必要があります。ある状況に対して、何が起こったかを知識として示すだけでは不十分です。ルールとポリシーの執行者として、なぜどのようにそうなるかを、厳密に正しい言葉で示せなければならないのです。

これらの知識を磨くために、候補生は総合ルールやMTR、IPGを学ぶべきです。ジャッジセンターのチャレンジ問題やポリシー問題をうまく使いましょう。加えて、候補生はJudgeAppsの教育プロジェクト(訳注:日本のプロジェクトであればケーススタディチームなど)に沿った指導をしたり、参加するようにするべきです。

私達は、レベル2試験官の候補生に、レベル2試験やレベル2練習問題(L2P)を高い点数で合格していることを含めるか検討しました。また、レベル3予備試験(Level 3 Preliminary exam)のようなほかの試験を検討材料に入れることも考慮しました。こういったアプローチは、その利点を上回るチャレンジが必要になります。こういった方針から、レベル2試験官には特別なルールに関する筆記試験を用意するのをやめました。レベル2試験官として適正なジャッジは、すでにレベル2試験を合格しており、この目的に対して十分な資格を持っていると判断しました。

  • レベル2として求められる技術を十分に理解している

すべてのレベル2にとって、PPTQのヘッドジャッジとして十分な技術と経験が要求されることは重要です。レベル2ジャッジはルール適用度が競技のイベントにおいて、十分に信頼できるジャッジでなければなりません。それに応じて、レベル2試験官の候補生は、そういったことへの能力と知識の範囲において十分な理解が必要とされます。これが意味するところは、レベル2試験官は、レベル2候補生が試験に合格した後に、その人が即座にPPTQのヘッドジャッジをできるかを評価できるべきだということです。

さらに、新しいレベル2ジャッジに何が求められて「いない」のかを理解していることも重要です。ジャッジはいろんな人がいて、さまざまな才能を持っていますが、要求されることは年々変化しています。私たちがレベル2に期待している技術や知識は重要ではありますが、新しく認定されたレベル2ジャッジに、認定されてから何年もたったようなレベル2と同じ技術や経験は求めていないのです。

この理解を得るために、レベル2試験官の候補生はレベル1~レベル2に求められることをレベル3ジャッジや地域コーディネーターと議論することが求められます。この議論は遠隔地であればオンラインで行うことも可能です。レベル2ジャッジとして求められることが示された記事の中で、レベル2試験官の候補生が読むべきものはたくさんあります。レベル2試験官の候補生はレベル1とレベル2に求められる要件を比較し、それらの要件がなぜ存在するのか理解することが求められているのです。

  • レベル2候補生を評価する能力

レベル2試験官の候補生はレベル2候補生に対して、求められる交渉能力、チームワーク、そしてレベル1とは何かという理念に関する知識を認定し評価することが求められます。私達は各レベルにおいて一貫性のある水準を維持することが重要であるのです。ジャッジプログラムは個々のジャッジに対して各レベルにおける水準を乱高下させないよう維持する努力を行っています。レベル2試験官は、レベル2候補生に対して、適切な技術を持っているかを評価できなければいけません。また、新レベル2がレベル1候補生が一定の水準に達しているかどうかを評価することも重要です。これは、新レベル2が認識している「新レベル1としての標準」が正しいかどうかを確認できることが、レベル2試験官として必要であるということです。

レベル2試験官の候補生がこの能力を獲得する最もよい方法は、レベル1およびレベル2の認定過程に何かしらの形で協力を行って経験を積むことです。レベル2試験官の候補生は、レベル1やレベル2候補生の技術の評価に参加できるべきだからです。レベル1の長所短所を見た上で、そういった長所短所についてレベル2として必要な要件を十分に満たしているか相対的に評価したレビューを書けるかというのはとても重要です。レベル2試験官の候補生が十分な能力を持っているなら、そういったをレビューを書くことを実践できるはずです。それが実現できるようになっているなら、レベル2試験官の候補生は、他のレベル2試験官やレベル3がインタビューを行っている様子を観察することで、新しく学ぶことがあるでしょう。

  • 候補生に、十分な指導を行い、建設的なフィードバックを行うことに習熟していること

レベル2試験官の候補生は、レベル2候補生がレベル2を取得するまでの計画をサポートできるべきです。これはレベル2試験前後両方でレベル2候補生に求められる技術について、十分なフィードバックを行えることを含みます。

この領域の能力を向上させるにあたり、レベル2試験官の候補生は口頭で/文章での両方でイベントに関するフィードバックを行えるべきです。フィードバックについては、ジャッジプロジェクトやブログを読むと役に立つでしょう。

認定方法

候補生にとっての認定の第1段階は、地域コーディネーターにコンタクトを取ることです。地域コーディネーターは候補生に対して、インタビューの前にどういったことを示す必要があるかをアドバイスしてくれるでしょう。地域コーディネーターはその地域におけるレベル2試験官を認定できるレベル3を知っています。

候補生は以下のチェックリストを満たしている必要があります。

  • レベル2としてよい評価を得ていること。
  • 2つ以上のレベル1認定レビューを書いていること。また、そのうちの1つは12ヶ月以内に書いたものであること。そのレビューは、認定試験の内容として十分に建設的なフィードバックを行えており、インタビューの内容が反映されたものであること。また、そのレビューは候補者がレベル1の要件を満たすための指針について説明されていること。
  • 12ヶ月以内にレベル2候補生へ行ったレビューを1つ書いていること。このレビューはレベル1ジャッジがレベル2ジャッジとしてどのような要件を満たしているか、満たしていない要件をどのように改善していくかを示すものであること。
  • 12ヶ月以内に前述の要件以外で3人以上のジャッジに対してレビューを書いていること。レビューは、トーナメントの運営、競技イベントにおけるルール、及びポリシーについて、レビューされたジャッジに対して建設的なフィードバックの例を示していること。これらはレベル1候補生に対する認定の際のレビューであってはならない。また、前述した他の要件にあるレビューは除外される。
  • 以下の項目について、地域コーディネーターや他のレベル3からインタビューおよび推薦を受けること。 このインタビューおよび推薦は、以下のクオリティと知識について保証されていること。
  • 交渉能力
  • 指導能力
  • レベル2の定義と必要とされる要件
  • 育成のためのレビューを書くことに習熟していること
  • インタビューに対するレビューを書くことに習熟していること
  • レベル認定手順に関してのJudge CenterおよびJudgeAppsの使い方
  • この手順を他の人に説明する能力

これらの項目を満たしているかを確認するために行うインタビューは、地域コーディネーターか認定を行うレベル3の裁量で、直接会わずに行ってもかまわない。

候補生は、このチェックリストを完成させたうえで、地域コーディネーターか認定を行うレベル3の承認を得てレベル2試験官の認定を受けます。これによってJudge Centerでレベル2のテストを行える権限が付与され、JudgeAppsでレベルを1から2に変更できるようになります。

日本の地域コーディネーターの連絡先はこちらで確認できます

レベル2試験官の認定は、他の認定のように、失効することがあります。レベル2試験官は、2年に1回レベル2試験を行う必要があります((※レベル2を目指していない人を対象とした試験は対象外です。他の認定試験のように適切なレビューを書く必要があります)。地域コーディネーターの裁量で、認定されたレベル2試験官に対して、レベル2試験官として適切なルール知識を維持しているかをレベル2練習問題で評価されることがあります。

おわりに

この要件を作成するために多くの仕事と会話がなされました。このプロジェクトの初期のメンバーは29名を超える(!)ボランティアのレベル3ジャッジと、そのジャッジたちの協力あってこそのものでした。最終決定となり、公開されるまでに長い時間がかかりましたが、最終的にここにまとまりました。私は、これらの要件の先にある理念の説明、要件の草案作成、地域コーディネーターと将来のレベル2試験官達からのフィードバック収集、DCIXやJudgeApps内での実現性の確保、そしてこのアナウンスを書いてくれたジャッジチームに感謝を述べたいと思います。これらの作業で、人並み以上に貢献してくれたジャッジ達を順不同で紹介したいと思います。

  • Paul Baranay
  • Kevin Binswanger
  • Sean Catanese
  • Adena Chernosky
  • Joshua Feingold
  • Jara Karaban
  • Rob McKenzie
  • Fabian Peck
  • Sergio Perez
  • Carlos Rada
  • Brian Schenck
  • John Temple
  • Justin Turner
  • Edwin Zhang

私達は皆さんがJudgeAppsでの議論に参加してくれることを望んでいます。あなたが何かしら疑問を持ったなら、上記の誰かか、あなたの地域の地域コーディネーターに質問してみてください。