懲罰: – 【警告】
定義:
プレイヤーが、適正な時間内にゲームの行動を終わらせなかった。
プレイヤーは適正なペースでプレイすることが要求されますが、適正なペースとは何なんでしょうか? それはどこにも定義されていません。行動決定のための明確な秒数は定義されていないのです。もし、我々が「行動決定に30秒以上かかったら〔遅いプレイ〕だよ」といったら、プレイヤーは全ての行動決定に関して29秒まで使っても良いと考え、我々が〔遅延行為〕を合法化することになります。ジャッジとして〔遅いプレイ〕を宣言することは主観的なことであり、従ってジャッジが〔遅いプレイ〕に関する裁定を出す時は、自身の最善を尽くさなければなりません。〔遅いプレイ〕かを判断する方法は以下の2つです。
– あなたが盤面を評価した後、何をするかを決めてから、退屈を感じ始めたら、それは〔遅いプレイ〕です。
– あなたが、〔遅いプレイ〕を出すべきか悩んだらそれは既に〔遅いプレイ〕を出すべきです。
故意に遅くプレイすることで時間制限を有利に働かせようとしているとジャッジが判断した場合、その違反には〔非紳士的行為 ─ 遅延行為〕が適用される。
プレイヤーは〔遅いプレイ〕と気づいておらず、故意でない限り、ゆっくりプレイすることは許容されます。特定の目的で時間を使い切ろうとしている(勝利を確定させる/引き分けに持ち込もうとする/その他の理由)場合は、それは〔遅いプレイ〕ではなく〔遅延行為〕(〔故意の違反〕)に該当します。両者をを見分けるのは非常に難しいことを気をつけなければなりません。そして、通常はプレイヤーがどの程度残り時間を把握していたかが肝心なところになります。
また、厳密な回数と最終的なゲームの局面を提示できないままにループを実行し続けるプレイヤーにも、〔遅いプレイ〕が適用される。
この文は、これだけで1個の記事が書けてしまうくらいの内容です。ループに明確な終わりがありますか? あなたが10回のループXを繰り返そうとしたとき、「あるYが起こったら、ループを10回未満で止める」ようにしたいとします。MTRにおける手順の省略のルール(4.2 イベントでの手順省略)を用いると、あなたはその特定の終了状態Yを説明しなければなりません。多くのループは、その終了条件に「最終的には」到達するでしょう。しかし「最終的には」というのは特定の数字ではありません。そのループの終了条件Yも、終了条件として十分ではありません。あなたは「ライブラリーが《引き裂かれし永劫、エムラクール》2枚になるまで自分のライブラリーを削る」というループを組むことはできません。なぜなら、ループを何回繰り返したら必ずあなたの望む状況になるということを、証明することが出来ないからです。あなたは「100万回ループさせる!」と宣言できますが、望む状況は100万と1回目まで来ないかもしれません。あなたは「200万回ループさせる!」と宣言できますが、それがどんな小さい可能性であれ目的の状態にならない可能性はあります。目的の状態にならない可能性がわずかでもあるなら、あなたはループを繰り返すことはできません。 例えば、対戦相手が「両方の《引き裂かれし永劫、エムラクール》がめくられ、その両方の能力がスタックにある状態になったときに対応するよ」と言われたら、《引き裂かれし永劫、エムラクール》が2枚だけのライブラリーができあがるのが先か、2枚が墓地に置かれるのが先か、どちらが先に起きると思いますか?
例:
(A) 何もゲームの状態が変わっていないのに対戦相手の墓地を何度も確認した。
(B) 《思考の大出血》の解決中に時間をかけて相手のライブラリーの内容を記録した。
(C) マジックのミシック予選(テーブルトップ)で、ゲーム間にデッキをシャッフルするのにあまりにも時間がかかっていた。
(D) スタッフの許可なく、席を立って順位を確認しに行ったりトイレに行ったりした。
例(A)〜(D)のいずれも、ゲームに不要で過度の、かつゲームを進めない行動をとっている状況です。例(D)は、トイレに行きたくてゲームを離れる場合は、プレイヤーはジャッジから許可を得るべきだということを示しています。許可を取って行った後、戻ってきたら延長時間が出されるでしょう。ジャッジはプレイヤーに、いつでもトイレに行く許可を出すべきだということを覚えておいてください。懲罰は、トイレに行くことそのものではなく、対戦相手をその場に放置したままで、ジャッジにそのことを伝えていないことに対して出されます。
理念:
全てのプレイヤーは、対戦相手が時間制限によって不利にならないよう、充分な速度でプレイする責任がある。
いくつかのプロスポーツでは、時間的なアドバンテージを取ることは、有効な戦略として認められています。ただマジックでは、マッチの結果は時間ではなく実際にゲームをプレイすることによって決定されることを求めています。時間はプレイヤー間で共有されているリソースであり、一方のプレイヤーが行動を完了するための適度な時間を越えて時間を消費するという状況を望んでいません。複雑なコンボは、行動をたくさん行うので多くの時間を必要としますが、時間を浪費することは対戦相手から時間を奪っています。両方のプレイヤーはマッチを成立させるうえで、適切な時間を適切なペースでプレイすることが望ましいのです。
プレイヤーはそう認識せずにプレイが遅いことがあるので、「速くプレイしてください」と伝えるだけで充分な場合もありうる。
深く考え込んでいるプレイヤーは、多くの時間を消費していることを認識できていないことがあります。時間を推測するのは難しく、50秒くらい考えているのに、10秒しかかけていないと思い込んでいることもあります。こういったケースでは、もう少し早くプレイするように指摘するだけで十分です。この指摘は、公式な懲罰や【警告】というわけではなく、【注意】にあたります。もしプレイヤーのプレイが速くなり、適切なペースでプレイを続けるなら何も問題はありません。ただ、【注意】から始めないジャッジもいるということも記しておきます。【注意】から始めなかったとしても、それはそれで「あり」です。
それでも遅い場合は懲罰を与えること。
プレイヤーが既に【注意】を受けていて、なおかつ適切な時間内に行動を決定できなかったり、次の行動決定も遅かったりしたら、【警告】を出すべきです。もし既に【警告】を受けていた場合は、【ゲームの敗北】に格上げされるべきです(これはヘッドジャッジの承認を得る必要があります)。【警告】を与える時は、そのプレイヤーがその日のイベント中で〔遅いプレイ〕で【警告】を受けるのが初めてかどうかをプレイヤーにも確認するようにしてください。
追加措置:
マッチの制限時間が終わった後、与えられる延長のターン数を2つ増やす。
プレイが遅かったことによって、どの程度の時間が失われたかを定量化する方法はありません。そのため、延長時間を与える代わりに、追加の2ターンを与えるという措置を取ります。これによって与えられたターンは「そのプレイヤーはこのターンに続いて追加の1ターンを行う」という効果によって一人のプレイヤーが両方とも得る可能性があります。
このターンの追加は、他の理由による時間の延長を適用した後、マッチ終了時の手順が始まる前に適用される。
これらのターンはどこかに追加しなければなりません。
マッチが既に延長ターンに入っている場合にはさらに延長ターンは与えられないが、その場合にも【警告】は適用される。
もし延長時間を含めて試合時間を過ぎていて、プレイヤー双方がマッチ終了のための延長の5ターンに入っているなら、もはや「時間内」ではないため、延長ターンは与えられません。
〔遅いプレイ〕に関しては、コチラの記事に詳細が書かれていますので、参照してください。