プレイヤーには実際に行動を起こす前に選択を検討することが期待されており、口頭・物理的を問わず対戦相手に伝わった行動を取り消すことは通常認められていない。
チェスには「タッチムーブ」(いわゆるお手付き)と呼ばれるルールがあります。それは適正な駒の動かし方をしているのならば、自分の手番の時には、最初に手が触れた駒を動かさなければならない(そして、相手の駒を取る場合は、最初に手が触れた駒を取らなければならない)というものです。マジックでは、適正な行動を宣言し、またカードを動かしたり口頭で確認すること(例えば「ブロックしません」と言うこと)によって、前述のチェスのルールと同様にプレイヤーが宣言した通りに行動する義務が生じると考えます。
プレイヤーが行動をしたあとで、自身の判断が誤りであったことに気づく場合がある。もしそのプレイヤーが別の判断をしたいと望む場合、行動した時点以降に新しい情報を得ていない限り、ジャッジはその翻意を認めてもよい。
しかし、プレイヤーごとに駒の数が決まっていて手番ごとに1つの駒しか動かせないチェスとは違い、マジックには(ライフの合計、手札の枚数、戦場の状況など)様々な要素によってゲームに影響しうる何通りもの選択肢があり、プレイヤーが行動を決めた直後に別の行動をしたいと思うことはよくあることです。プレイヤーがゲームの間に取った行動について意思を変えることは、実践の場で通常(非公式ではあるものの)許容されるでしょう。しかし、そのようなことはどこにも書かれていません。そのため、これにより両方のプレイヤーが何の情報も得ていない場合に限り、ポリシーは決定の撤回を許容することとします。
このとき、ジャッジはその決定によると思われる行動が取られた時点以降で、プレイヤーが本当に情報を得ていないかについて慎重に検討しなければならない。
プレイヤー間のやり取りによってどの程度の情報が得られたのかということに、ジャッジはとても慎重になる必要があります。なぜなら情報は様々な方法で得ることができるからです。呪文が解決されようとしている時でさえ、プレイヤーは対戦相手から情報を引き出そうとしています。決定の撤回について考慮しやすい例をあげると、すべてのマナがアンタップ状態であり他のプレイヤーに対応する方法がある対戦相手から反応を引き出せれば情報として大きなアドバンテージが得られます。それとは対照的に、対戦相手がタップアウトしていて何も対応ができない場合にはほとんど情報は得られません。
特に、自身が取った行動を取り消すかどうか判断するために、プレイヤーが対戦相手の反応(や反応がないこと)を利用しようとするようなことは認められない。
「《稲妻/Lightning Bolt》をこのクリーチャ…じゃなくてこっちのクリーチャーに」とプレイヤーが宣言することはよくあることで、この場合にはプレイヤー意思を変更しようとする前にテーブルから読み取れる情報をなるべく得ないようにしているので、プレイヤーに決定の変更を許容することは妥当でしょう。一方で、決定の変更を言いだそうとする前に対戦相手が確認してくるのを待っているのであれば、全く違う状況になるでしょう。この場合、それはもはやマジック・ザ・「ゴチ!」であり、対戦相手の反応を引き出そうとしているので決定の撤回は認められません。
情報が得られていないとジャッジが確信を持てない場合は、決定の変更を認めないこと。
ジャッジが復元をするかしないかを判断する時と同様に、一番安全なのは、状況をそのままにすることです。ジャッジが介入する前にやり取りされた情報量が十分な量であると考えているなら、決定の撤回を認めるべきではありません。今こそあなた自身で判断すべきなのです!
情報が得られる前にチームメイトが介入することは、復元を検討する上で許容されうる。
マッチの結果をチームとして報告することに加えて、ゲームの間は常に意思疎通を取ることができることから、ジャッジはチームにいるプレイヤーを1つの集合体として扱います。そのため、ジャッジが決定の撤回を認めるかどうかを判断する上で、チームメンバー全員を考慮に入れることも有効です。もしプレイヤーがクリーチャーを唱えて、そのチームメイトが「違う!こっちを唱えるんだよ!」と言った場合、それらの決定に関連する情報が得られていない限り、決定の撤回を認めることは問題ありません。
例:
プレイヤーが《島/Island》をプレイした直後、他の行動が取られる前に「ごめん、《沼/Swamp》をプレイするつもりだったんだ」と言った。
プレイヤーが「ブロックなしで」と言った直後に「待って、これでブロックするよ」と言い直した。
プレイヤーが「ターン終了…じゃない、土地置いて終了」と言った。
決定の撤回を考慮する上でためになる読み物もここにあるのでぜひ読んでみてください!