懲罰: – 【警告】
定義:
デッキに入っているカードやそのスリーブの特徴によって、ライブラリー内の他のカードと区別しうる状況になっていた。この「特徴」には、傷跡や爪痕、変色、角の変形や箔押しカードの反りなども含まれる。
カードは表面のみで区別されるべきです。そのカードが何か区別できたり、そのカードのタイプが分かったり、表面以外に他と区別できるような部分があるなら問題があります。この違反は、傷や凹み、カードの向きなど、物理的な印に適用されます。 – 例えば、そのプレイヤーの全ての土地の向きが逆になっている状態です。また、横から見たときに1枚のカードが特定できる状態(mash shuffling(横から差し入れるシャッフル)をする時)に1枚のカードが側面からわかるようになっている状態など、カードやスリーブを修正すべき問題がある場合も該当します。この違反は、潜在的な濫用を含む問題ですから、気を付けて対応してください。明確に悪用していると感じるなら、〔非紳士的行為 ― 故意の違反〕を考慮しましょう。
ジャッジは、プレイヤーのデッキの中に区別できるカードが含まれていた場合のみこの違反を適用します。サイドボードには適用しません。もしサイドボードのカードがデッキとは異なる印がついていたり、明らかに見た目が新しいと区別できる場合に、そのカードがデッキに入れられた場合は違反の対象とすべきなのです。サイドボードのカードが、デッキチェックの際にそういった区別がつく状況になっていた場合、プレイヤーにこれを認識させ、サイドボードのカードを使用する際は、メインデッキのスリーブと交換するように提案しましょう。
例:
(A) スリーブ数枚の背面に小さな傷がついていた。傷がついているのは《山》、《ロクソドンの教主》、《稲妻のらせん》だった。
これは土地、クリーチャー、インスタントというパターンで区別できるカードとなっていて、それほど大きな問題になるものではありません。しかし、カードが個別に区別できる状態というのはまだ問題があります。そのプレイヤーは、これらの印に気づいたら「このカードは60枚のうちの、《山》《ロクソドンの教主》《稲妻のらせん》のどれかだ」と仮定できてしまうため、そのプレイヤーにそのカードについて不当な知識を与えてしまうことになります。
(B) プレイヤーが何枚かフォイル・カードを使っていて、他のカードと容易に区別ができた。
フォイルは内側に反る傾向があります。これは、カードの反りから区別を付けることが可能で、悪い使い方ができてしまいます。繰り返しますが、そのプレイヤーにとってフォイルがどこにあるかを知ることで、そのプレイヤーが反っているカードが何か、より正確に仮定することができてしまいます。全てのフォイルが区別できるわけではないですし、全ての反っているカードがフォイルであるわけではありません。デッキに入っているフォイルに明確にパターンが存在する(例:全ての土地がフォイルなど)ことが〔区別できるカード〕とにあたるわけではありません。それは(もし反りがあるなら)カードの反りが生じていることが問題なのです。
(C) スリーブを使わないプレイヤーのデッキに含まれる基本土地の背面が、他のカードと比べて明らかに褪色していた。
スリーブを使わないデッキで、裏面の色が明らかに明るいセットの基本土地カードを使っている場合がこれに該当します。
裏面が目立つということはそれらのカードが区別できるということであり、それら全てが基本地形であるということはライブラリトップにあるカードの裏面を見るだけで土地カードであるかどうかが分かるということは、重要な利益を得られるという格上げ要件を満たすことになります。
理念:
イベントの間にスリーブやカードに擦れ傷がつくことはよくあることであり、プレイヤーがそれによって利益を得ようとしていない限り、その状況を理解させるだけで充分である。ほとんどのスリーブは何らかの形で目印がつくものであり、ジャッジは、懲罰を決定するにあたってそれを忘れるべきではない。
イベントは時間がかかるもので、大規模なイベントの多くは8時間を越えます。マジックをプレイすること—特にカードをシャッフルすること—を8時間以上行うと、スリーブが裂けたり、傷ついたり凹んだり曲がったりということが起こります。こういった問題は、特定のカードが区別できないなら、単純にこの違反であることを指摘して懲罰を与えて、スリーブを交換させてください。ただ、もしあなたが注意深く確認して、全ての新品スリーブに印が見つかるようなら、それらは区別できるカードにはあたらないので、注意しましょう。
〔区別できるカード〕の場合、プレイヤーに、スリーブに入れる前にシャッフルするとよい、ということを伝えることが非常に重要である。
プレイヤーに「なぜ違反すると懲罰を受けるのか」を説明することは常に重要なことではありますが、〔区別できるカード〕の場合、どうやったら今後避けられるかを説明する必要があります。プレイヤーは、教えてもらわないと「何が悪いのか」を知らないものです。
加えて、プレイヤーが自分のデッキをスリーブに入れる際に取るべき手順がいくつかあります。たとえば、プレイヤーはカードをスリーブに入れる前に、デッキをシャッフルするのと同じようにスリーブをシャッフルするべきです。なぜなら、同じ種類のスリーブを購入したとしても(製造工程の問題などで)スリーブの長さが違うケースがあるからです。プレイヤーがスリーブを交換する際に、まずはスリーブをシャッフルするようにしていたら、〔区別できるカード〕に該当してしまったとしても、スリーブの交換が必要になったとしても、あまり深刻な問題にはならないでしょう。プレイヤーがスリーブのシャッフルを怠ったら、デッキとサイドボードが異なるサイズのものに入っていると区別できるようになってしまい、より深刻な問題として扱うことも考慮しなければなりません。詳細は続きを参照してください。
この違反は、そのプレイヤーのデッキに入っているカードについてのみ適用される。サイドボードで区別できるスリーブが使われていても、そのカードがそのままデッキに入れられていないかぎり違反ではない。
プレイヤーには、デッキはスリーブに入れ、サイドボードはスリーブに入れないことを推奨しましょう。サイドボードは〔区別できるカード〕にあたるのでしょうか?そんなことはありません!この2つの文によって、〔区別できるカード〕の境界線を定めているのです。サイドボードにあるカードは、デッキに入れるまではどのような状態であってもかまいません。これは、デッキ・チェックの際に、あなたのサイドボードが印のついたスリーブに偶然入っていて、それが目立つものだとして、デッキに入ってさえいなければ、適正なものとして扱われます。
調査しない限り、ジャッジはプレイヤーにサイドボードのカードが区別できる状態であることの注意喚起を行うべきである。
デッキ・チェックの際に、サイドボードのカードの何枚かが区別できるような状態になっていたら、プレイヤーに対し「それらのカードをデッキに入れる際は、デッキのカードとスリーブを交換すること」を指摘するようにしてください。プレイヤーが問題のカードをデッキに入れる際に、スリーブを入れ替えるかどうかを黙って待ち、スリーブを入れ替えずにデッキに入れたら喜び勇んで懲罰を与える、というようなことはしないでください。そうなる前にプレイヤーに教えましょう。これの例外は、あなたが調査をしたい場合だけです。あなたが〔故意の違反〕を疑っている状況で、そのための調査を行うなら、あなたはプレイヤーに教えないことを選択し、調査のための情報を収集することは認められます。
追加措置:
プレイヤーは、区別できないカードやスリーブと交換したり、あるいはスリーブを使っていない場合には背面の傷を隠せるようにスリーブに入れたりすることが必要となる。
イベントが進むうちに、プレイヤーのカードやスリーブは消耗していくもので、区別がつくようになってしまったら、それを是正しなければなりません。グランプリのような大規模なイベントからプロツアー予備予選のような店舗で開催される小規模なイベントやその他ルール適用度が競技で行われるイベントの場合、スリーブを安く手早く購入できるでしょう。また、プレイヤーが何枚かスリーブの予備を持っているようなら、それと交換してもかまいません。特に重要なのは、プレイヤーのデッキに入っていなかったカードの消耗度合いです。スリーブをしていないデッキは、シャッフルされるうちにかなりの早さでカードの状態が悪化していくものです。
イベントでのプレイ中にカードが酷く痛んでしまったなどで区別がつくようになった場合、ヘッドジャッジは代用カードを発行してもよい。
誰かの不注意で、プレイヤーのデッキに水をこぼしてしまったなど、やむを得ない事情で自分のカードをプレイできなくなってしまったプレイヤーが、イベントを継続できないという状況は望ましくありません。また、カードが傷ついていたり、区別できるような状態になっていた場合—例えばリミテッドのイベントで配布されたパックに、印刷ミスのカードが含まれていたなど—には、代用カードをヘッドジャッジの権限で発行することが出来ます。その概要は、マジックイベント規定(MTR)3.4 代用カードの項を参照してください。
格上げ:
プレイヤーが交換するカードを準備できなかった場合、イベントの残りの期間、それらのカードをカード名が《平地/Plains》《島/Island》《沼/Swamp》《山/Mountain》《森/Forest》いずれかであるカードと入れ替えてもよい。この場合、デッキリストが新しいデッキの内容に合うように変更されるため、懲罰は【ゲームの敗北】が与えられる。後に元々の区別できるカードと交換できるカードを見つけたなら、更なる懲罰なしに取り消すことができる。
不適正であるという理由でプレイヤーがあるカードをプレイできなくなった場合(例えば、プレーヤーが所有する4枚のFoilの《高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells》が曲がって使用できなくなったため、プレイヤーのデッキが56枚であるという状況など)、 それらのカードを同じカードの問題ないものに変更するか、または《平地/Plains》《島/Island》《沼/Swamp》《山/Mountain》《森/Forest》のいずれかの組み合わせで置き換えることができます。 プレイヤーが交換用のカードを探すことを希望する場合は、急ぐように伝え、〔遅刻〕の懲罰を受けるまでに10分間の猶予があることを伝えてください。 プレイヤーが上記いずれかの基本土地カードを代わりに追加した場合、デッキリストはプレイヤーが実際にプレイしているものを反映するように変更する必要があります。 デッキリストが変更されたため、【ゲームの敗北】をプレイヤーに与えます。これは、後でデッキチェックを受けた場合に、〔デッキリストの問題〕による懲罰を受けないようにするための措置です。 プレイヤーが何らかの理由で元のカードの代わりを見つけた場合にはこの変更を取り消すことができ、その時には懲罰を与えることはありません。
格上げ:
これらの特徴のパターンを所有者が認識することで重要な利益を得る可能性があるとヘッドジャッジが判断したなら、懲罰は【ゲームの敗北】となる。
カードについている印に規則性がある場合、スリーブの角が傷ついてしまっている、という状態よりも一般的には大きな問題となります。例えば、多少透けてしまうような不透明スリーブの場合、《高原の狩りの達人》のような両面カードは、第2面が透けて見えてしまいます。この場合、全てのプレイヤーの《高原の狩りの達人》は区別できるものとなっていますから、この格上げ処置の対象となります。他の例としては「11枚のスリーブの角が曲がっていて、そのうち10枚が土地だった」「(リアニメイトデッキで)全てのリアニメイト対象が曲がっている」「サイドボードカードのスリーブが、他に比べて消耗していない」などがあります。