懲罰 – なし
定義:
誘発型能力が誘発したが、その能力をコントロールしているプレイヤーが、その能力が最初にゲームに視覚上の影響を及ぼす時点までにその存在に気付いたことを示さなかった。
603.1 誘発型能力は誘発条件と効果を持ち、「[誘発条件またはイベント]とき/たび/時に, [効果]/When/Whenever/At [Trigger condition or event], [effect].」という書式で書かれている。
一般的に言えば、プレイヤーは誘発型能力が誘発した後にその時点で誘発に気付いていることを示すことを求められていますが、その能力が「最初に影響を与える」までに示すことができるならそれは決して遅すぎることはありませんが、単一の文章で定義できるようなものではありません。この節を通じて、その言葉が何を意味するのか見直していきましょう。
プレイヤーが気付いていることを示さなければならないタイミングがいつなのかは、その誘発型能力がゲームにどのような影響を与えるかに依存する。
•(「対戦相手1人を対象とする」以外で)対象を取ったり、モードを選んだり、その他その能力がスタックに置かれる時点でコントローラーが選択すべきことがある誘発型能力:そのコントローラーは、次に優先権をパスする前に選択を宣言しなければならない。
例:《選定された助祭》、《アカデミーの修士魔道士》、《ロナスの碑》
誘発型能力そのものの意図を踏まえ、2人対戦のゲームにおける「対戦相手1人」の対象は自動的に選択されるものとして扱われます。コントローラーが〔誘発忘れ〕を避けるためにこの選択を明示することは求められていません。ただし、これで全ての懸念が無くなったわけではなく、プレイヤーは後のどこかの時点では、その能力が残りの3種類のどのグループに分類されるのかを明示する必要があります。加えて、例えあなたが対戦相手を対象にとりたいことが自明であっても、誘発型能力が「プレイヤー1人を対象とする」ことを要求している場合でもそのような想定はされません。
- ゲームの局面に視覚上わかる(ライフの総量を含む)変化を起こす、あるいは解決時に選択が必要になる誘発型能力:そのコントローラーは、(ソーサリー呪文を唱える、次のステップやフェイズで行われることを明示的に行ったなど)その誘発型能力の解決されるべきタイミングより後でしか行えないゲームの処理を行う前に、物理的処理を行うか、あるいはその特定の誘発を示さなければならない。
結論から言えば、このタイプの誘発型能力がゲーム中に最もよく起きます。カードを引くことや、オブジェクトを領域から領域へと移動させる、パーマネントの状態を変更することを含むほとんどの誘発型能力は、視覚的に明白な処理を伴っています。なお、ライフの総量はゲーム中の視覚的効果の一部として扱う点にご注意ください―誘発型能力がプレイヤーにダメージを与えるか、ライフを得させるか、いずれにせよライフの点数表を更新する(=視覚的にライフを書き換えられるべき)点を、最初に影響を与える時点として反映したものです。
ただし、優先権を放棄したり、インスタント・呪文を唱えたり、能力を起動したりした場合にも、誘発型能力はまだスタックの上にあり得るので忘れたことにはならない。
- ゲームのルールを変更する誘発型能力:そのコントローラーは、その誘発について指摘するか、対戦相手が結果として不適正になる行動をすることを防がなければならない。
例:《塩水の精霊》、《第10管区のラヴィニア》、《霜の壁》、《狡猾な生き残り》
プレイヤーは、対戦相手が誘発を明示しなかった場合、それが忘れられたかのように振る舞う事に問題はありませんが、対戦相手によって止められることは予期しておかなければなりません。
例えば、Abelardがサイクリングした後にNutellaを《狡猾な生き残り》で攻撃し、すぐに誘発型能力についてなにも言わなかったとします。Nutellaは《変わり谷》を起動してそのブロックを宣言しようとすることができます。Abelardがこの後なんらかの処理を行うか、戦闘を先に進めるかするまでにこのブロックが不正であると指摘しない場合、Abelardはこの誘発型能力を忘れています。
プレイヤーがこのような「〔誘発忘れ〕作戦」(とでも呼んでおきましょう)を行うことを選んだ場合、そのプレイヤーは手札にあるカードの情報やプレイの意図を公開するリスクを負うことになります。さらに悪いことに、この種の〔誘発忘れ〕をあてにしているプレイヤーは、そうでなかったら取りたくないプレイングをするはめになることがあります。上記の例だと、AbelardがNutellaの《変わり谷》によるブロックを止めた場合、Nutellaが《変わり谷》の起動を巻き戻すことも、それに費やしたマナの「払い戻し」も認められません。
- ゲームの局面に視覚上はわからない影響を及ぼす誘発型能力:そのコントローラーは、その変化が視覚上のゲームの局面に最初に影響をもたらす時までに、その変更を明示しなければならない。
例えば、Natが《上天の閃光》をコントロールしている時にAniseが《丘巨人》を唱えたとして、そして両者とも《上天の閃光》の誘発には触れなかったとします。もし、そのターン、後になってからNatが追加のダメージを1点Alexのクリーチャーに与え、Norvilleがその時点でそれを墓地に置くようAlexに求めたなら、それは彼が《上天の閃光》の誘発を忘れているということにはならないでしょう。 この場合には、《上天の閃光》の誘発はAlexの《丘巨人》が致死ダメージを受ける時点で最初に重要となります。
例:《ボロスの精鋭》、《ステップのオオヤマネコ》、《ザル=ターの古きもの》、《引き裂かれし永劫、エムラクール》
これらは人々が陥りがちな問題で、以下でより詳細に対処します。しかし、対戦相手は、省略されていてもこれらの誘発型能力は本来のタイミングに誘発したと想定するべきです。
上のいずれかの義務が果たされたなら、それ以降の問題は〔ゲーム上の誤り ― その他一般のゲームルール抵触行為〕として扱われることになる。
例えば、Alexが《饗宴と飢餓の剣》を装備した《東屋のエルフ》でNatを攻撃し、ブロックされなかったとします。 戦闘ダメージステップでAlexは自分の土地をアンタップしますが、どちらのプレイヤーもNatが手札を1枚捨てるのを忘れてしまったとします。たとえ、これが戦闘後メイン・フェイズで発覚したとしても、両方のプレイヤーによる〔その他一般のゲームルール抵触行為〕として扱われなければなりません。ゲームを巻き戻すか、適切な部分的修正を加えるかをすることになるでしょうが、ただ単に手札を1枚捨てる能力をスタックに乗せたいかどうかをNatに尋ねたりしてはいけません。また、正しいタイミングか、それよりも早く誘発を宣言した後に、複数の物がスタックにあったせいで解決を忘れることがありますが、これも〔その他一般のゲームルール抵触行為〕となります。
ターン起因処理により英雄譚の上に伝承カウンターを置く処理が忘れられたなら、それは〔ゲーム上の誤り ─ 誘発忘れ〕として取り扱われる。
遅延誘発型能力を作る以外の効果を持たない誘発型能力は、示される必要なく自動的に解決される。生成される遅延誘発型能力は該当する時点で示されなければならない。
呪文や能力のコピーを作る以外の効果を持たない誘発型能力(ストームや暗号など)は自動的に解決されるが、その生成されるオブジェクトの解決は、(それが誘発型能力でなくても)上記と同じ条件に従って示されなければならない。
同じ能力内に「そうしたとき/when you do」が後に続く処理を含む能力は、その処理を宣言することで示されたものとして扱う。これは督励の類の能力でもっともよくあることである。
誘発型能力がゲームに影響を及ぼさない場合、それに気付いたことを示せていなくても違反とはならない。
例えば、タップ状態の《冒涜の悪魔》は依然として明言されるべき誘発型能力を保持しており、《冒涜の悪魔》が既にタップ状態であったとしても対戦相手は生贄を捧げるかどうかの選択を促さればなりません。
例えば、コントローラーがクリーチャーを1体生け贄に捧げるという効果を持つ誘発型能力があって、そのコントローラーがクリーチャーをコントロールしていない場合にはその能力について示さなくてもよい。
同様に、視覚上の効果を伴わない選択的な誘発型能力を示したプレイヤーは、対戦相手が対応しないかぎり肯定的選択を行ったものとして扱う。
ジャッジは、【警告】を出す意図があるか、あるいはコントローラーが故意に自分の誘発型能力を忘れていると推測する理由があるのでないかぎり、〔誘発忘れ〕の状況に介入しない。
もちろん、ジャッジが【警告】を与え必要がある場合と、プレイヤーに〔故意の違反〕に関する調査を行う必要がある場合だけはこれの例外になります。
他のプレイヤーをコントロールしているプレイヤーは、その間について自身のものに加えてコントロールされているプレイヤーの誘発型能力についても責任を負う。
例:
(A) 《悪名の騎士》(賛美つきの2/1クリーチャー)が単独で攻撃し、そのコントローラーが「2点」と言った。
alertこの状況では、この能力が最初に重要となるのは戦闘ダメージ・ステップです。これはゲームの局面に視覚上の変化をともなわない影響を及ぼす誘発型能力に当たります。《悪名の騎士》の攻撃によるダメージを2点だと示しているので、プレイヤーは《悪名の騎士》の誘発型能力を忘れています。仮に、戦闘ダメージ・ステップよりも前に2点と宣言していてもそれは忘れたことになります。[/alert]
(B) プレイヤーが自分の待機呪文から最後のカウンターを取り除くのを忘れて、ドロー・ステップにカードを引いた。
(C) プレイヤーが《躁の蛮人》を唱え、その誘発型能力の対象を選ばなかったことに次の呪文を唱えてから気がついた。
(D) プレイヤーが《聖トラフトの霊》の生成した天使・トークンを戦闘終了時に取り除くのを忘れた。この誤りに気付いたのは次のターンのブロック・クリーチャー指定時であった。
理念:
誘発型能力は多数存在し、実体が見えるわけでもないので、処理を忘れたことによって厳しい懲罰を与えるべきではない。
プレイヤーには自分の誘発型能力を覚えておくことが期待されており、故意に無視した場合は(上記の通り、その能力がゲームに何も影響を及ぼさない場合を除いて)〔非紳士的行為 ― 故意の違反〕に該当する。
対戦相手がその能力の宣言や解決に際してすることがあったとしても、対戦相手は自分のコントロールしていない、忘れられた誘発を指摘する義務はないが、指摘したいなら指摘してもよい。
マジックという競技で試されるスキルのひとつに、自身の誘発型能力を覚えているかどうかがあります。プレイヤーは対戦相手の能力を覚えていられない、あるいは物覚えの悪さでとがめられるべきではありません。
プレイヤーが対戦相手の誘発型能力を指摘したい状況というのはどういった状況でしょうか? その誘発型能力が対戦相手よりも指摘した本人にとって有利に働くことがあるかもしれないし、あるいは対戦相手がより不利になる場合があります。つまりは指摘した本人に何かしら利益があるということです。
誘発型能力は特にそうでないとわからない限り覚えられているものとして扱われ、そのゲームの局面への影響は即座に明らかになるとは限らない。
対戦相手は誘発型能力を指摘しないことによって有利を得ることがあるが、誘発型能力を忘れさせるように仕向けて良いということではない。
対戦相手が、誘発型能力の厳密なタイミングに関する情報を必要とする場合、あるいは解決された誘発型能力に影響されうるゲーム上のオブジェクトに関する詳細を必要とする場合、そのプレイヤーはその能力のコントローラーが宣言する前にその能力の存在を認識する必要があることがありうる。
Natには2つの選択肢があります。1つは単純に《仔熊》に対して《ショック》を唱え、Alexが誘発型能力を忘れていると期待することです。しかし、そうすることで、NatはAlexが誘発型能力に気づいていた場合、《仔熊》が墓地に置かれないというリスクを負うことになります。言い換えると、Alexが誘発型能力を明確に示していないということは、それを忘れたということまでは意味しません。忘れたかどうかのポイントとなるのは、それが最初に影響を与えるタイミングで示されているかどうかということで、このケースの場合《ショック》が解決されるタイミングがそれに当たります。なので、もしNatがこの策略を試みるなら、彼は《ショック》を無駄にするリスクを負います。
代わりにできることは、NatがAlexに何らかの能力が《仔熊》のタフネスを変更しているかどうか尋ねることです。これは類推情報であるため、Alexは答える必要がありませんが、もし答えが得られた場合、Nilesはその誘発が忘れられたか否かを知ることができます。
《仔熊》のタフネスについての質問をすることは、Alexに《戦の大聖堂》の能力を思い出させ、改めて示す最後のチャンスを与えてしまう可能性があるため、Natにとって不満な結果となるかもしれません。しかし、IPGは「誘発型能力は特にそうでないとわからない限り覚えられているものとして扱われる」と規定しています。このポリシーはNatにAlexをはめる機会を与えているのではなく、プレイヤーの実際のプレイを反映しているのです。
対戦相手によって示されていない誘発型能力が忘れられていたかどうかによって適正かそうでないかが変わるようなプレイをしたプレイヤーは、違反をしたものとしては扱わない。その誘発型能力が忘れられていたかを確認し、状況によっては単に巻き戻す。
プレイヤーは、ゲームの処理をするなどしてゲームを速く進めることで相手のコントロールする誘発型能力を忘れさせることはできない。
ポリシーがプレイヤーに対して、自身の誘発型能力の宣言を対戦相手がゲームの処理を行った直後に宣言することを認めているのは、たいていの場合、プレイヤーはターンの進行の前に、対戦相手に対してしっかりと行動を促したりはしておらず、そうしなければ誘発が忘れられたことになってしまうからです。例えば、よくプレイヤーは対戦相手に戦闘開始ステップに誘発型能力の宣言などの確認をすることなく自分のメイン・フェイズから攻撃クリーチャー指定ステップまで進行させてしまいます。
〔誘発忘れ〕のポリシーは、既にプレイヤーがゲームをどのように進めているのかを基に書かれており、決してその逆ではありません。
対戦相手がコントロールする《陰謀団の先手ブレイズ》の誘発について、プレイヤーが、そのターンのドローをしようとする前に何も言わずとも違反にはなりません。対戦相手がカードを引いた直後にはっきりと誘発について宣言したなら、その能力は忘れられていないのです。
対戦相手のターンに、誘発型能力のコントローラーが何かする(何か処理をするとか優先権を明示的にパスするなど)前にその誘発型能力に気付いているということを示したなら、その誘発型能力は忘れられていない。
これはスタック上にあるオブジェクトを間違った順番で解決している一連の行動なので、順序違いの行動の規定(MTR 4.3節)も適用されることがある。
正しい順序で行なったと仮定した場合に全ての行動が適正であることが必要であり、また、対戦相手は必要な時点で対応するために、正しい順序で行なうようにプレイヤーに求めても良い。(その場合、それ以降に行なわれる行動は一旦取り消され、そのまま行動する義務は生じない)。
順序違いの連続行動で決定を遅らせ、本来のタイミングではまだ得られていない情報を利用することができてはならない。」とあります。
この文章は、特定の状況では、プレイヤーは一連の行動の一部として誘発を指摘することができ、厳密にプレイした場合に誘発型能力が最初に重要となるタイミングよりも後の時点でも、誘発を忘れたことにせず、問題なく指摘できることを意味しています。
例えば、プレイヤーには、立て続けに《燃え投げの小悪魔》を《屍肉喰らい》の起動型能力のコストとして生贄に捧げ、《屍肉喰らい》にカウンターを乗せた後、《燃え投げの小悪魔》の誘発型能力を忘れたことにはせずに「あなたに3点」と宣言するようなプレイが認められています。もしプレイヤーがこれらの行動を対戦相手に対応する機会も与えず、追加の情報を得ることもなく進めた場合、大体においてそれは適正な順序違いの連続行動として認められます。
ただし、プレイヤーが《裂け目の稲妻》の時間カウンターを取り除き、ドロー・ステップのドローをした後で、「《裂け目の稲妻》の対象は君のクリーチャーだ」と宣言することは認められません。たとえ、プレイヤーがそのような行動を立て続けに行い、対戦相手にも何も言わなかったとしても、そのプレイヤーは《裂け目の稲妻》で対象を選択する前に、ドロー・ステップで引いたカードの情報を得ている筈です。これは〔誘発忘れ〕として扱われるべきです。
誘発した能力は、その後に忘れられた場合でも誘発したものとみなされる。誘発した能力の誘発回数を数えたり誘発する回数が制限されている効果は、忘れられた回数も数える。
ただし、誘発型能力のテキストは慎重に読んでください。《創造の座、オムナス》のように、「何回解決されたか」を参照するような能力には適用されません。プレイヤーが4点のライフを得た後、2回目の能力を忘れたからと言って、3回目が誘発した際に、2回目の解決を「スキップ」して、4マナを得ずにダメージを飛ばすわけではないことに注意しましょう。
追加措置:
オーラが戦場に出たことによる誘発型能力で、そのオーラがつけられたパーマネントにのみ効果を及ぼし、視覚的な影響を伴うものであった場合、それを即座に解決する。
領域の変更(トークンの生成を含む)を行った効果によって生成された、それらを解消する遅延誘発型能力であった場合、対戦相手はその能力を次にプレイヤーが優先権を得るときに解決するか、次のフェイズの開始時にプレイヤーが優先権を得るときに解決するかを選ぶ。移動先の領域が元あった領域と同じである必要はない。
このオプションで戦闘中にクリーチャーが現れたり消えたりすることを多少規制しています。これについて調整する権利を対戦相手がもつのは、誘発を忘れたのはその対戦相手ではないので、その対戦相手がプレイヤーが「突然」誘発を思い出したことによるゲームへの影響を最小限に抑えられるようにするためです。
領域変更を伴う遅延誘発型能力の解決は、次のフェイズの開始時にクリーチャーを戦場に戻しますが、これは、プレイヤーが対戦相手の終了ステップに能力を忘れていたことに気が付いた場合に、そのプレイヤーの次のアップキープ・ステップまでそのクリーチャーが追放領域にあり続ける(訳注:他の領域にあるならその領域にとどまり続ける)ことを対戦相手が選べることを意味します。そのクリーチャーが戻ってきたとしても、召喚酔いの影響を受けて攻撃できないことを意味しています。もちろん、対戦相手が本当にそう望むなら、その終了ステップ中にそのプレイヤーが優先権を得たときに戻すことを選択できます。
最後に、対戦相手がどこに誘発型能力を配置しても、スタックを用いず即座に解決します。これは、既に発生したであろう能力に対応して何かをすることを防ぐためです。
特に、対戦相手が選択権を得るのは「いつ解決するか」であって「解決するかどうか」ではないことに注意してください。その理由の一つは、多くの領域変更誘発には、上記のように関連するオブジェクトが存在するからです。もし対戦相手が誘発させるかどうかまで選択できるようにしてしまうと、忘れたプレイヤーにとってちょっと厳しすぎる裁定が出ることになってしまいます。例えば、《霊異種》の戻ってくる誘発を直前のターンに忘れてしまった場合などがこれに当たります。前述の通り「誘発型能力はありふれたもので見えないものであり、プレイヤーに対して厳しい懲罰が出されるべきではない」のです。ポリシーはここで特別な配慮を見せるべきなのです。
また、これらの能力が期限切れになることはありませんが、プレイヤーは相手にその存在を示す必要はありません。プレイヤーは対戦相手が《幽霊議員オブゼダート》の戻ってくる能力に気づいていて数ターン指摘しなかったとしても、それはポリシーとして適正な行動をとっています。最後の一文は、領域を変更するという考え方は、元の領域に戻すことを示していますが、別の領域に置くこともカバーします。《騙し討ち》がその好例でしょう。
それ以外の、前のターンの現在のフェイズよりも前に忘れられた誘発については、プレイヤーにそのままゲームを続けるように指示する。
誘発によって生成した効果の持続時間がすでに過ぎている場合も、プレイヤーにゲームを続けるように指示する。
例:《戦誉の天使》《壮大な鯨》《ニヴィックスのサイクロプス》
以上のいずれにも該当しない誘発型能力については、対戦相手は、その誘発型能力をスタックに置くかどうかを選ぶ。
対戦相手に問題となっている能力をスタックに置きたいかはっきりと確認します。どんなにその質問がばからしくとも、ジャッジは、その能力がプレイヤーにとって有害だからスタックに乗せたがらないとか、対戦相手自身にとって有用だから乗せたがらないなどと決めつけるべきではありません。
スタックに置く場合、その忘れられていた能力をスタックの該当する場所に置く。それが不可能な場合、スタックの一番下に置く。
その能力が本来誘発するべき時点で適正な選択でなかったオブジェクトを含む選択を、その誘発型能力について行うことはできない。
たとえば、プレイヤーにクリーチャーを1体生け贄に捧げさせる能力であれば、能力が本来誘発していた時点で戦場にいなかったクリーチャーを生け贄に捧げることはできない。
そのプレイヤーが、誘発が忘れられたことを示す処理の途中あるいはその直後であり、その処理を完了することでその誘発の効果が変わる場合、その処理について単純な復元を行うことができる。
格上げ: 誘発型能力のコントローラーにとって有害であると考えられ、かつそれらの能力が自身がオーナーであるカードによって生じていた場合、【警告】が与えられる。
さらに、「一般的に有害」とは、あなたは、その能力に関連付けられたカードの情報単独で考慮する必要があり、ゲームの状況から得られる情報を鑑みて「有害」かどうかの判断をしてはいけないということを意味しています。Toby Elliottは彼のblogで、「もしこの誘発型能力が存在しなかったら、そのカードはプレイされるのか?」という誘発型能力が有害かどうかを判断するためのガイドラインについて記事を書いています。もしこの答えが「いいえ」なら、その能力はおそらく有害ではないでしょう。
理論的には、マジックにおける全ての誘発型能力は、有害かそうでないか分類できるでしょうが、実際には、ジャッジの小さなグループがこの大変な内容の達成に向けて努力している最中です。
最後の一文は《The Tabernacle at Pendrell Vale》や《戦争の報い、禍汰奇》のようなカードのために加えられたものです。これらは、他のオブジェクト(特に対戦相手のオブジェクト)に誘発型能力を誘発させるというほとんど使われなくなったテンプレートに沿った能力です。
default actionに関する処理を整理しました。何が【警告】に当たるでしょうか?これらを有害でないとするにはどうしたらよいでしょうか?直感的な解決策があります。その誘発型能力の存在を、あなたがもたらした場合だけ有害です。あなたが生成した能力はあなたが責任を持ちましょう!
現在のゲームの局面はその決定には影響しない。ただし、対称的能力(《吠えたける鉱山》など)の場合、通常、誰が影響を受けるのかによって有害かどうかを判断する。
しかし、私達が対称的な能力が誰に影響を与えるかを考慮する事は許可されています。正確な意味での対称的な能力とは何でしょうか?対称的な能力とは、以下の2つの条件に当てはまる誘発型能力のことを指します。
1.ゲーム中に複数回、異なるプレイヤーに誘発する
2.両者に対して同じ効果を与える
例としては、《吠えたける鉱山》《硫黄の渦》《燃え立つ大地》といったカードが挙げられます。対称的な能力は、両方のプレイヤーに対して有益な効果をもたらすか、有害な効果をもたらすもので、一方にとって有益で他方にとって有害な効果をもたらすものは該当しません。さらに、対称的な能力は影響するプレイヤーそれぞれに、その能力の効果を別々に及ぼすものでなければなりません。例えば、《狂気の種父》の能力(各終了ステップの開始時に、各プレイヤーはそれぞれ自分の手札を捨てる。)は対称的な能力ではありません。
もしプレイヤーが、自分にとって有害あるいは、対戦相手にとって有益な対称的な能力を忘れたら、そのプレイヤーは【警告】を受けるべきです。