懲罰は、DCI懲罰データベースに永久記録されるよう、イベントの報告に添えて報告されるべきである。加えて、(〔遅刻〕(3.1)と〔デッキリストの問題〕(3.4)を除く)【ゲームの敗北】以上の懲罰はヘッドジャッジに報告され、ヘッドジャッジの手で与えられることを推奨する。
懲罰は記録しておく必要があります。その目的はイベント内で参照するためだけではありません。一度データベースに記録されればウィザーズ社はあらゆる目的でその記録を使用します。とはいえ、実際にイベントリンクに記録する際には、イベントのために記録するようにしてください。
加えて、(〔遅刻〕(3.1)と〔デッキリストの問題〕(3.4)を除く)【ゲームの敗北】以上の懲罰はヘッドジャッジに報告され、ヘッドジャッジの手で与えられることを推奨する。
【ゲームの敗北】は「一大事」であり、誤ってそれを適用してしまうと状況の修正が難しくなります。このため、【ゲームの敗北】や【マッチの敗北】を出すときは、そうする前にヘッドジャッジ(HJ)に相談するのが望ましいです。【失格】については、その裁定を出す権利があるのはHJだけです。ただし、〔遅刻〕と〔デッキリストの問題〕による【ゲームの敗北】は例外で、HJの手を介さずにフロアジャッジが懲罰を出すことができます。これは、シビアな判断を求められる点がほとんどなく、かつとても頻繁に起こることだからです。それでも、ジャッジがチームを組んでいるなら、チームリーダーに相談する方が良いでしょう。たまにHJがこの理念を変更することがあります。グランプリでよくある変更は、「L3以上のジャッジはHJに代わって【ゲームの敗北】を与えることができる」というものです。大規模なイベントでは、チームリーダーが【ゲームの敗北】を与える権利を与えられることが多いです。
イベントに参加していなくても懲罰が与えられる場合がある。この指針はプレイヤーを前提にしているが、会場にいるほかの人(観客、スタッフ、ジャッジ)も懲罰を受けるためにイベントに登録され(そして棄権扱いにされ)ることがある。懲罰が実際に適用される前に当該プレイヤーがイベントを棄権していたとしても、その懲罰は与えられる。
これは「懲罰を受ける人が、イベントに参加していなかったらどうしたらよいのか?」という質問に対する回答です。どのような懲罰が出されたとしても、イベント中参加者を区別するようなことはしません。もし懲罰を受ける人がイベントに参加していなかったとしたら、その人をイベントリンクでイベントに追加し、違反を与えてください。もし観客が攻撃的な行為を働いたら、そのことは記録として残されるべきです。イベントに参加していなかったとしても禁止されている行動をすることはできるでしょう。例えば、観客が〔外部情報の参照〕をしてしまったら、それを記録しておく必要があります。
次の質問は「懲罰を受ける人が、ウィザーズアカウントを持っていなかったらどうしたらいいのか?」ということです。まずは周りにその人のことを聞いて回りましょう。誰かがその違反者の情報を知っていると思います。実際に番号を持っていなければ、その人のウィザーズアカウントを作成して、イベントリンクでその人をイベントに登録してから違反を登録してください。 プレイヤーがイベントから棄権したとしても、違反と懲罰は記録されます。
懲罰が与えられる場合、ジャッジは関連するプレイヤー全員に、その違反について説明し、状況を正すための指示を与え、そして懲罰を与えるようにしなければならない。
プレイヤーに懲罰を与える際には、「どんな違反が起こったのか、追加措置は何か」についてプレイヤーに説明します。プレイヤーからの妥当な質問には、プロとして丁寧に答えてください。プレイヤーはあなたに助けを求めています―ですから、助けになってあげてください。プレイヤーがあなたの伝えたいことを理解しているかどうかを確かめながら話をしてください。時折、「何故そうなったか」を理解してもらえないこともあります。そういうときは、まず説明してください。どうしても理解されず、説明が長くなってしまうようなら、「マッチが終わってからまた話をしましょう」と伝えてゲームを続けるよう指示してください。
ヘッドジャッジがこの指針を逸脱することを選んだ場合、ヘッドジャッジは通常の懲罰と、逸脱の理由について説明することが望ましい。
ここまでの項目に書かれている通り、逸脱はHJのみができます。逸脱する場合には「通常の懲罰は何で、何故逸脱を行うか」についてプレイヤーに必ず説明します。これには2つの効果があります。1つは、HJがその逸脱に対する説明責任を果たせるかどうか確かめることです。もしそれが出来ないなら、HJは裁定を再考するべきです。もう1つは、HJがプレイヤーに「これは通常通りの裁定だ」と思わせないようにすることです。プレイヤーや、状況を見て勉強しているジャッジに対して、これは一度きりの逸脱だということをはっきり示しましょう。
違反によっては、基本の懲罰に加えて反則を処理するための手続きが記されているものがある。その手続きは、スタッフが不公正である、偏っている、贔屓をしているというような批難を受けないように定められている。引用文に従って裁定を下した場合、プレイヤーの不満はジャッジではなく不公正なポリシーに向けられることになる。この手続きから逸脱した場合、そのプレイヤーや、そのプレイヤーから話を聞いた人たちからの不満がそのジャッジに向けられることになる。
いくつかの違反には追加措置が定められています。それらは、基本的にはそれぞれの違反の「理念」の項のあとに書かれていますから、書かれている追加措置を適用してください―無視してはいけません。追加措置は、ゲームを可能な限り正しい状態に直すためにあります。これらは全てのイベントで同じように行われなければなりません。これは競技RELイベントの一貫性を保つためだけでなく、ジャッジを守るためでもあります。ジャッジがルール文書に従っている限り、「ジャッジが私を貶めようとしている」「ジャッジが対戦相手をひいきしてルールを変えている」といった主張がプレイヤーからあったとしても、それは筋違いなものとなります。逆にジャッジが逸脱を行うと、「Abeも自分もデッキケースに余計なカードを入れていたのに、Abeだけ懲罰が格下げになった。あのジャッジはAbeをひいきしている」といった噂にさらされることになります。我々が言いたいことは単純です。―逸脱をしないでください。フォーラムで暴言が飛び交うようなことにはならないようにしてほしいです。
これらの手続きは、プレイされているゲームやゲームの状況、あるいはその懲罰の手続きによって誰が利益を得るかといったことを考慮しないし、考慮すべきではない。
ジャッジがよくぶつかる疑問です。ジャッジコールに答えるとき、現在の盤面を考慮しなくていいのでしょうか? 答えは「考慮しますし考慮しません」となります。ジャッジは、違反が起こったかどうかを判断するためにゲームの状況を見ます。そうすることで、プレイヤーに何を訊けばいいかが分かります。例えば〔遅いプレイ〕を疑ってインタビューをするとき、現在のマッチの記録はとても重要な情報です。しかし一方で、どんな違反が起こったかを一度判断したら、追加措置を適用する際には盤面を考慮しません。その追加措置でゲームの勝敗が決まろうと、結果的にプレイヤーが戦略的な恩恵を受けることになろうとかまいません。誤りが起こるということは、そこから必ず誰かが何かしらの情報を得てしまうものです。その情報が何かを正確に判断することまでジャッジに求めることはしません。整合性を崩さないまま追加措置を行うのは明らかに無理があるからです。
これは単にゲームの状況を「正す」ためにあるのであり、細かな状況が失われることを恐れたり、プレイヤーを(故意でないにせよ)贔屓したりすることはトラブルの元である。
ジャッジはIPGに記載された追加措置を忠実に適用しなくてはなりません。それらは徹底的な分析のもとに決められたもので、よほど稀なケース以外は大抵の状況を解決します。ジャッジが自分で「追加措置」を決めると、全てを適切に修正しきれないというリスクや、どちらかのプレイヤーが過剰なアドバンテージを得てしまう危険性を背負うことになります。特に、普段はFNMでジャッジをしていて、追加措置を「工夫」できる状況に慣れている人にとっては、とても重要な理念です。
単一の誤りが複数の関連する違反を引き起こした場合、それらの違反の中で最も重い懲罰を課す。
これは、ジャッジがテーブルに着いたときに複数の誤りを発見した場合の話です。大抵の場合、それらの違反は原因がそれぞれ異なります。例えばデッキチェックをしたときに、メインが59枚しかないこととスリーブが傷んでいることに気付いた場合がこれにあたります。こういう場合は、同時に複数の違反が発見されたとしても、根本的な原因がそれぞれ違うので、2つの違反が起きたとみなします。しかし、複数の誤りが同じ原因で起こることが時々あります。例えば、プレイヤーが「英雄的は能力でも誘発する」と勘違いしていて、何度も装備品の装備能力で英雄的を誘発させていた場合などがそうです。このような場合は、根本的な原因は1つなので、違反も1つとなります。もしこのような違反を3回してしまったとしても、追加措置や格上げを考えるときには1つの違反として扱ってください。
同じ原因により別カテゴリの違反を複数犯してしまった場合には、1つの違反として扱いますが、適切な追加措置は全て適用してください。不適正に唱えられた呪文によって適正にドローすることは、2つの違反「ではない」ということに注意しましょう。