IPG 3.9 イベント上の誤り ─ 不充分な切り直し

懲罰：– 【警告】

定義：

プレイヤーが、過失によって自分のデッキまたはデッキの一部を充分に切り直さないままで対戦相手に提示したか、デッキをさらなる無作為化のために対戦相手に提示しなかった場合、この違反になる。デッキの中のカードが１枚でもどこにあるか、あるいはその分布がどうであるかをプレイヤーが知っているとジャッジが判断した場合、そのデッキは切り直されていないとする。

プレイヤーが自分のデッキを切り直すのは、デッキの中のカードのありかを追跡できないようにして、デッキ内のカードの順番をわからなくすることを目的としています。あなたが、プレイヤーがカードのおおまかな位置を知ることができると信じるのであれば、デッキは充分に切り直されていません。(例えば、そのプレイヤーが、特定のカードがどの部分にあるか知っていたり、呪文・呪文・土地と並べ十分に切り直していない状況が該当します) 。充分な無作為化が行われるのに必要なシャッフルの明確な回数は、無作為化するカードの枚数によって変動するので明言できません。しかし、あなたが充分に切り直していないと感じたなら、おそらくこの違反に該当しています。一度プレイヤーが何らかの理由によって自身のデッキを切り直して、それが完了したら、そのプレイヤーはさらに無作為化を行ってもらうために自身のデッキを対戦相手に提示する責任があります。その場合もこの違反に該当します。
一般的にこの違反は、プレイヤーが面倒臭がったり、悪い切り直し方法を身に付けていたり、別のことに気を取られていたりすることによって発生します。もしプレイヤーが意図的に充分に切り直さなかったと考えたのであれば、〔故意の違反〕を検討しましょう。

例：

(A) ライブラリーからカードを探した後、切り直さなかった。

(B) ライブラリーからカードを探した後、リフル・シャッフルを１回だけして対戦相手に渡した。

(A)は「おっと、切り直しを忘れてしまったよ」という単純なものです。そんなことは起こらないだろうと考えるかもしれませんが、多くのゲームでこれは起こる可能性があります。
(B)は、経験の少ないプレイヤーや、プレイヤーが急いでいるときなどに、おそらくよく見かけるでしょう、デッキを1，2回カットするだけで相手に渡すのです。
(C)は、(A)の亜種で、デッキの一部やカードの束などを切り直す必要があると考えずに切り直すのを忘れてしまったケースです。

理念：

プレイヤーは自分のデッキを必要に応じて充分に切り直してあるはずであり、そうする技術と必要性の理解があると考えられる。

マジックはカードゲームです。そしてカードを操作することが必要です。それらのカードを無作為化するのはプレイヤーの責任であり、そのための行動が求められます。

しかしながら、対戦相手にはプレイヤーの後で切り直す権利が認められているので、これによって得られうる利益は小さいと考えられる。

〔不充分な切り直し〕は、デッキ全体を操作してマナ編み込みをしたり、デッキの中の1～2枚のカードの位置を操作したりするだけで、とても簡単に利益を得ることができます。過去にはその利益の可能性を鑑みて、懲罰は【ゲームの敗北】が妥当でした。しかしそれは、経験の浅いプレイヤーや面倒臭がりのプレイヤーが、どうすれば良いのか知らなかったり、切り直しの重要さを軽視したりといった理由により【ゲームの敗北】になってしまう可能性がありました。そのため現在では、デッキを提示した際に対戦相手がデッキを切り直すことを要求します。これによって実際の利益の可能性を取り除きます。そしてこのルールでは【警告】が基本的な懲罰となり、私たちは心労はかなり減りました。

デッキに含まれているカードが見えた場合、切り直している途中に１枚２枚のカードの位置が判っただけであっても、切り直されているとは考えない。切り直している間、カードが自分にもチームメイトにも対戦相手にも見えないようにプレイヤーは気を払うことが期待される。

デッキに含まれるカードはすべて、それが無作為化されている間は誰にも明らかにされるべきではなく、そうでなければ無作為化されているとは言えません（たとえデッキの中のほとんどのカードはそうであっても、です）。もしあなたがリフルシャッフルを10回行い、そして（反りを直すために）表向きにしてリフルシャッフルを1度したのであれば、それはもはや切り直されているとは言えず、もう一度最初から切り直す必要があります。チーム戦では、自分自身に向けるのと同じように、チームメイトに向けて切り直しを行うこともまたよくありません。切り直しにより対戦相手がカードが見えてしまうことは戦略的に望ましいことではありませんが、しかしそれによって懲罰を受けることはありません。

プレイヤーは複数の方法を用いて充分にデッキを切り直すべきである。俗に言う「パイル・シャッフル」はゲーム開始時にのみ認められる。

シャッフルを行うとき、複数の種類のシャッフルを行うのは無作為化に必要な行為です。6～8回のリフルシャッフルやマッシュシャッフルを行えば、無作為化として十分とされています。ディールシャッフルはシャッフルではありません。シャッフルの一部でもありません。シャッフルの回数には数えません。プレイヤーはゲーム中に1回だけ、カードがきちんと足りていることを確認するためにディールシャッフルを行っても構いません。もしプレイヤーが2回以上ディールシャッフルをしたとしても、懲罰を与えるようなことはしないでください。代わりに、正しいシャッフルの仕方を指導してください。

無作為化の前にカードを並べ替える（ある種のカードをデッキの中に散らしたり、逆に組み合わせて入れたりする）ことは認められるが、その後充分に切り直されることが必要である。

切り直す際、充分な無作為化をするために複数種類のシャッフルを組み合わせて行うべきです。一般的な「シャッフル」としてディールシャッフルがあります。しかしこれは切り直しではありません。切り直しの一部でもありません。切り直しとして数えません。何故なら、ディールシャッフルを行う前のカードの位置を知っていれば、ディールシャッフルを行った後のカードの位置も特定できてしまうからです。6~8回のリフルシャッフルまたは「マッシュ」シャッフルは、デッキを無作為化するのに充分でしょう。
プレイヤーが着席した時には、アルファベットソートなどによって特定のカードが特定の場所に置かれていたり、呪文呪文土地のようななんらかの形でソートされていることがあります。それが疑念を生む可能性はありますが、その後でデッキが適正に無作為化されているのであれば問題はありません。それは、デッキが切り直されることによって、デッキが無作為化された時点でデッキの操作はすべて抹消されるからです。
対戦相手によっても切り直されることによって、さらに確実に無作為化されます。適正な切り直しの前にデッキの中のカードを操作することは単に気持ちの問題です。一方、不適正な切り直しの前にデッキの中のカードを操作していた場合、それが故意でなければ【警告】、意図的に行われた場合は〔非紳士的行為〕になります。

追加措置：

デッキの該当する部分を充分に切り直す。

対処方法は簡単です、切り直しさせましょう。どのような切り直しが必要なのか、何故それが必要なのかを手早く説明し、他のプレイヤーにも対戦相手のデッキを切り直さなければならないと理解させましょう。原則として、ジャッジが切り直すのではなく、プレイヤー自身に切り直させます。これは、ジャッジがシャッフル中にスリーブを破ったりカードを落としてしまったりという危険を防ぎます。また、切り直した後のプレイヤーのカードの引きが悪かったときの非難が、ジャッジに対して起こることも防ぎます。
何枚かのカードがデッキの中で適正に位置を把握されている場合があり、それが切り直す範囲に含まれていなければその位置を保持する必要がありますので、気を付けてください。このような問題を修正するにあたり、戦場にあるパーマネントだけでなく、墓地も忘れずに確認するようにしましょう。ライブラリーの中で把握されているカードについて質問することも必要です。〔不十分な切り直し〕に限らず、切り直しに関する問題を取り扱う際には、いつでもこういった配慮をするように心掛けてください。